【白内障】 目薬、手術以外の治療方法とは?

白内障の治療方法として、手術、目薬が良く知られていますが、その他にも、内服薬、注射による方法があります。これらは、ヒトの白内障に大して行われるもので、犬に適用されることはないと思いますが、参考のために記載しています。

 

内服薬

 

チオプロニン

チオプロニン
Tiopronin
N-(2-Mercaptopropionyl)glycine

 

チオラ錠100(マイラン製薬)

 

チオプロニンは参天製薬(株)により開発された化合物です。1970年から肝疾患治療剤としてチオラ 錠100の商品名で発売され、1979年に初期老人性皮質白内障及び水銀中毒時の水銀排泄増加の効能・効果が追加されました。

 

 白内障への効果ですが、白内障を改善させる効果はなく、進行防止の効果があるとされています。

 

厚生省発表の「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究(H13-21EBM-012)」(2002年)の報告書において、ピレノキシン系目薬と同様に、「根拠となるデータが不十分」との見解が示されています。

 

 

パロチン

パロチンという内服薬もあります。

パロチン (もりや眼科HPより引用)

 

正確にはありました、ということになります。
唾液腺ホルモン製剤という薬、の部類なのですが、なんでも、牛の唾液腺から製造していたのですが、ひと昔前の狂牛病の騒ぎが起こって製造できなくなったということです。

 

パロチンについては、ピレノキシン系目薬と同様に、上記報告書において「根拠となるデータが不十分」との見解が示されています。

 

<参照>
YG研究会
もりや眼科

 

 

漢方薬

漢方薬もあります。

 

八味地黄丸(はちみじおうがん)、(Kracie)など

 

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、(ツムラ)など

 

こちらも上記報告書にて、データ不十分との見解が出されています。

 

 

注射

 注射による白内障治療という手法もあります。
これは、鉤虫駆虫薬のジソフェノールを皮下投与するものです。ただし、すべての白内障に対して効果はないことがわかっています。若齢のシベリアン・ハスキーに発症した白内障に対してこの治療を実施したところ良好な結果が得られた、という報告があります。

 

この注射による白内障治療が適応できるケースは、次の場合であったとしています。

 

(1)若齢の場合 (ほとんどは2歳齢以下),
(2)急速に発達する,
(3)しばしば 前部ぶどう膜炎を合併する,核を中心とした白内障

 

ジソフェノールを6.5 mg/kg 週1回 8〜10 回皮下投与を行います。
本治療で視覚を回復した場合でも水晶体の胎生核の部分に線状の混濁が残るので,眼底は観察可能になるものの手術ほどの効果はない、ということで、獣医は、積極的にこの方法を選択することはありません。

 

また、本剤は肝毒性があるので,治療前および治療中には血液検査で肝機能のチェックが必須となり、異常が見られた場合には、投与間隔をのばすか、治療を中止する必要があります。

 

<参考文献>
・太田充治:獣医畜産新報55 (4),2002