犬の白内障手術が抱える大きな課題

犬の白内障の手術

写真 白内障手術の様子(米国動物眼科大学 Veterinary Eye Institute

 

 

ネット上の犬の白内障手術を対応できる獣医さんの病院のサイトや、犬の病気について書いてある書籍をいくつかみてみると、犬が白内障になっても、ヒトと同じように、白内障になっても最後は手術がある、というようなどちらかといえば楽観的な印象を受けることが書いてあるものが散見され、どんな犬でも白内障の手術が気軽に受けられるように勘違いしてしまいそうです。

 

 しかし、実際は、お金さえ払えば、愛犬に完全に納得がいく状態にしてあげられるというわけではなく、白内障の手術には次のような課題があります。

 

 

(1)極めて高額な手術


まずは、その手術費用が高額なことです。概算(両目で)で50万円とも100万円*1するとも言われています。愛犬のためなら多少の高額な費用も厭わないという人も、よほど金銭的に余裕がない限り、躊躇してしまうのが普通でしょう。なかなかペット保険に入っている人は少数派と思いますので、ペット保険に入っておけばよかったと思うのかもしれません。

 

 ペット保険に入っていない場合は、愛犬とはいえ、直接は命にかかわらないような病気の治療にそこまで費用をかける必要があるのかというお金と愛犬の健康を天秤にかけなくてはならない、というジレンマに陥ることになるでしょう。

 

しかも次項で述べるような費用以外の課題もあるのです。

 

(参考)
*1  犬の白内障の手術費用は下記を参考にした。
アイペット保険会社。白内障の場合の平均診療費は、414,800円。
おり動物病院、1眼あたり20〜25万円前後が目安。入院料、手術料、麻酔料、入院中の検査料を含む。
日本動物高度医療センター。手術費用は、1眼あたり50万円程度が目安。

 

 

(2)犬に確認を取れないまま、手術をしてしまうこと。(犬は人と正確なコミュニケーションが取れない)


(本項目は、杉浦技術士事務所のブログを参考にさせていただいています。)

 

 この問題は深刻で、前述の金額の問題はむしろ大した問題ではない、といえるかもしれません。

 

つまり…

 

ヒトの白内障手術の場合、手術前に患者に検査をして、患者さんと相談の上でどのような手術の条件にするかを決めるそうです。まあ当然ですね。
 しかし、犬の場合、患者は犬なので、獣医は犬に入れるレンズの度数をどのくらいにするのがいいのか、などの、確認しようがないため、飼い主には確認を取るにしても、「こんなもんかな」という判断で、手術をしてしまわざるを得ないということです。例えば、クラクラするようなきつめの度数のレンズを入れてしまったら、犬にとってその後の生活は苦痛でしかないでしょう。しかもレンズはもう取り出せないし…。

 

(3)手術後のトラブル


 人間の場合も、手術自体はうまくいったとしても、術後のトラブル*2がある割合が発生するものです。患者が犬の場合も当然、術後トラブルがある程度、発生すると考えるのが当然でしょう。例えば、目の充血、目が痛い、にじんで見える、目がゴロゴロする、以前よりまぶしい、などなど、です。
ヒトの場合は、不具合があれば我慢できなくて医師にクレームを伝えてくるでしょう。しかし、犬の場合、当の犬は不具合をうまく伝えられないので、ほとんど多くの場合、術後トラブルが少ないものとなってしまっていると推測します。

 

(参考) *2  たとえば、人間の場合の白内障手術後のトラブル例。名古屋アイクリニック。今までに寄せられた相談。術後に痛みがある、黒い点々が見えるようになった、度数が合っていない…

 

 

(4)手術できない場合もある


 犬の体調によっては、手術自体ができない場合もあります。手術を受けること自体、犬にとっても大変な負担ですので、全身麻酔などで悪影響がでると判断された場合は賢明な獣医は手術をしない判断を行うでしょう。

 

飼い主が、愛犬に良かれ、と思う白内障手術ですが、これだけのリスクがあるのです。

 

 

(次ページ:犬の白内障の代表的な目薬(仕様表))